2009年06月18日

楽していっぱい食えれば、それでいいのか?

マーヴィン・ハリス「食と文化の謎―Good to eatの人類学」をようやく読み終わりました。
(時間が無かったのでいいかげんな斜め読みですが、なにせ図書館への返却期限がもう過ぎちゃってるので・・・)

いやあ、けっこう面白かったです。

この本の存在を初めて知ったのは、平松洋子「アジア おいしい話」で。
韓国で犬鍋を食べにいくはめになって、犬鍋くらい食べれなくてどうするという気持ちと、食べずにすませられればいいのにという気持ちの間で揺れ動くその描写の中に、マーヴィン・ハリス「食と文化の謎―Good to eatの人類学」の一説がさしはさまれる。
そんなことが書いてある本があるのか、一度読んでみようかな?と思ったのがきっかけ。

そして先月「虫を食べる」をテーマにした時、梅谷献二「虫を食べる文化誌」に虫を食べることに対する人の気持ちに対して、マーヴィン・ハリス「食と文化の謎―Good to eatの人類学」の説を持ち出してきているのに遭遇。
これは、もう読んでみるっきゃない。

で、ええかげんな斜め読みのこま切れ読みで、細かいところはすっとばしてますが、面白かったんです。
コストとベネフィットの関係から論じられるさまざまな食習慣(牛を食べない食習慣、豚を食べない食習慣、馬を食べない食習慣、虫を食べる食習慣、ペットを食べる食習慣、ヒトを食べる食習慣)の説明は、あとがきによると人類学では必ずしも全面的に受け入れられるものではないそうだし、マーヴィン・ハリス自身、人類学の世界では非常に異端の忌み嫌われる存在だったらしいのですが、私のような素人の人間にとっては、なるほどこういう視点があるのかと非常に興味深いものがありました。

コストとベネフィットの関係。
ある食物を得るためのコスト(労力その他)。
ある食物を得たベネフィット(嬉しい度合い)。
これらを秤にかけて、コストパフォーマンスの良いものが食材として選ばれてゆく。
選ばれなかった食材に対しては、食べてはいけないという禁忌の札が貼られたり、神聖視されたり、忌むものとして扱われたりする。

ううん、なるほど。
コストとベネフィットの関係はこの一年畑をやってきてなんとなく分かります。
去年、ろくに野菜の育たなかった畑では当然収穫も少ない。そんな時、畑の雑草アカザやシロザ、スベリヒユなんていうのは貴重な食材でした。
でも現在小松菜とカブがいっぱい採れている状態では、伸びてきたアカザ、シロザをわざわざ採ろうという気にはなりません。
(アカザ、シロザはきらきらする粉をきちんと洗い落とさないとえぐいんですよね。すなわち食べるまでにちょっと労力がかかる)
もっと暑くなって青物が不足してきたら、きっとアカザ、シロザ利用するのかもしれません。
他にいっぱい採れるものがある時には、労力のかかる食材をわざわざ選ぼうとしません(なんとしてでも食べたいくらい美味だと話は別ですが)。
昆虫食の世界でも食べられている虫は、群れをなしているもの、大発生するものが多いのです。
もともと虫じたいが小さい。お腹を満たすため、栄養を得るために採るのなら、ある程度量が必要です。群れもなさず、大発生もしないものを数集めるには非常な労力が要ります。(風味が良い昆虫で、少量をスパイス的に使うものは話が別ですが)

人間ってそういう観点で選り好みするんだ!
というのは私にとって新しい視点でした(漠然とした感覚はもっていたのですが、明確な視点として持ち合わせていなかった)。

ともかく人はそういう視点で選り好みするんです。
お魚だって、一匹まるごとよりは、切り身が好かれるんです。
虫と泥のついた野菜よりは、きれいでぴかぴかな下洗いの時間の短い野菜を選ぶんです。
アク抜きが必要だったり、下ごしらえが面倒だったり、場合によっては調理しなけりゃいけなかったりなんていう食材は嫌われるんです。
そのまますぐに食べられるトマトが人気だったり、レトルト食品が流行るのには、それなりのふか〜いふか〜い人の業の深さに由来した理由があるんです。

コストとベネフィット。

もう本能みたいなもんですね。
いかに楽するか。
いかにたくさん得するか。

コストとベネフィットによる弊害を修正するには、別の視点を設けなきゃいけません。
楽して量がいっぱい得られればそれでいいのか? という疑問。

健康には問題がないのか?
環境には問題がないのか?
美味しさには問題がないのか?
文化として問題はないのか?

でもこういうのは本能じゃないんです、きっと。
意識して考えなきゃならない問題なんです、きっと。
意識して考えないとコストとベネフィットの関係だけに流されるのが人間なんです、きっと。

ところで、マーヴィン・ハリス「食と文化の謎―Good to eatの人類学」に挙げられたいろんな食習慣のうち、虫だの犬の肉だのそういうのはウィキクックレシピの対象ですが、人の肉というのだけは対象になりません、もちろんのこと。
ウィキクックレシピが食文化を論じるサイトならば対象となりえますが、そうではありません。みんなで食材の情報を集めて、みんなで料理して食べることが目的のサイトです。
そういう意味で人の肉というのは、完全に目的から逸脱した、いわゆる公序良俗にはずれた対象になります。

ヒトを食べるという食習慣にはコスト−ベネフィット的なそれなりの理由があったのかもしれないけれど、その食習慣が望ましいものかどうかというのはまた別の問題です。本能とは別のところで考えなきゃいけない問題です。

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posted by WCR管理人 at 09:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 食文化
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