バターがすっごく品薄になった時期に、バターの代用品をいろいろ試行錯誤したことがありましたが、お菓子の本などには菜種油を使うケースが多いんです。
そっかー、バターの代わりに菜種油を使えばいいのか〜。
と思ったのも束の間。
ナタネ油だけはやめてくれ〜!
とオットからクレームがつきました。
あのにおい、あの風味がどうにも耐えられないのだそうです。
普通のサラダ油くらいしか使うことがなく、菜種油オンリーとは無縁だった私には今ひとつピンときませんでしたが、そこまで嫌がるものを使うわけにもいくまいと断念。
(その後、多分、厚揚げを揚げた油のにおいがいわゆる菜種油のにおいかなあ?と。嫌がる気持ちに少々納得)
ところが先日油を買おうと、スーパーの油売り場で品定めをしていると、ちょっと高級な菜種油が目に付きました。
昔ながらの一番しぼり製法で搾ったなたね油・・・
というのが売り文句。
同行していたオットが「この菜種油ならひょっとしたら食べられるかもしれない・・・」
オットとしては、自分の菜種油嫌いが菜種そのものに由来しているのか、製法に左右されるものなのか、ずっと気になっていたらしいんです。
で、試しに買ってみることに。
一番しぼりとやらのなたね油は、とろっとして、どこか胡麻油に通ずる香りがあります。焙煎に由来するものでしょうか?
いわゆる今まで感じていた菜種油らしい風味も僅かにありますが、今まで大嫌いだった菜種油とは全くの別物と言っていいほど、においや風味が違うのだそうです。
これなら大丈夫!
とオットのお墨付きを得て、サラダのドレッシング、炒め物と使ってみました(お菓子にはまだ使っていませんが)。
胡麻油っぽい風味は、チコリのような苦味のある野菜のドレッシングに合うようです。
その後しばらくしてから新聞に国産なたね油の記事を見つけました。
地方の休耕地などで栽培した菜種を加工販売するにあたり、ただの揚げ油ではなく、焙煎もせずに静かに搾っただけの油を「生で食べても美味しい油」として付加価値をつけたら、けっこう人気だという話。
安い輸入品に対抗するためには付加価値をつけなきゃいけないという発想はよく分かりますが、じゃあ今までのオットが大嫌いだった菜種油はなんだったんだ?という疑問が湧きます。
浜島守男、太田昌男「油屋さんが書いた食用油の本 (HANDS BOOK)
昔は搾ることで原材料(菜種だの大豆だの)から油を得ていましたが、この圧搾法と呼ばれる方法は効率が悪いのだそうです。
そこで抽出法と呼ばれる方法を使うようになりました。これはヘキサンという溶剤に材料から油を溶かしだす方法です。
またこの二つの中間、圧抽法と呼ばれる方法もあります。圧搾法である程度油を搾った後、残りを抽出法で取り出すのだそうです。
溶剤に溶かされた油は、蒸留処理で溶剤を取り除いて、最終的に油だけになるそうです。
オットの大嫌いな菜種油はおそらく抽出法か圧抽法で得られたものだと思います。
圧搾だけで得られた菜種油にはオットの嫌いなにおいや風味は殆どありません。
油の採り方の違いが、におい、風味に大きな差を生じさせている可能性は大。
油は搾ったり、抽出したりした後にも精製という過程があります。
少量の酸と苛性ソーダの水溶液を加えて、遊離脂肪酸などの不純物を除去する、脱酸とかアルカリ精製と呼ばれる工程。
真空中で加熱した油に、活性炭などの吸着剤を加えて脱色する工程。
サラダ油など低温でも固まりにくい油にするために、冷やして固まった部分を取り除くウインターリングという工程。
真空で水蒸気を通すことにより、臭いの成分を蒸発させる脱臭という工程。
など、けっこういろんな工程があるようです。
新聞記事で紹介されていた油は、油を一週間静置後、上澄みだけを取り出し、ろ紙で何度も漉すという精製方法を採っているそうです。
風味には、この精製方法の違いが影響していても不思議ありません。
(ワインだって、不純物取り除き過ぎると、風味が落ちるというんで加減するんだそうです)
オリーブオイルは一番搾りだのエキストラバージンだの、かなり昔から騒がれてきましたが、菜種油だってオリーブオイルとおんなじなんですねえ。
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